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2013/09/15 (Sun) どうも、吸血鬼です。

某CMを見ていて思いついた小ネタです。
続く・・・のかなあ?
そしてタイトルやる気なさすぎにもほどがあります、すいません・・・。





魅入られる、とはこういうことを言うのだ。

俺、ミハエル・ブラン・・・私立フロンティア大学経済学部二年生・・・は、今まさに魅入られていた。
普段通りの毎日、退屈すぎるほど平穏な日常、きっとこのまま大した山もなく谷もない人生が続くのだろうと思っていた俺の人生に、まさかこんなとんでもない事態が起きるだなんて、つい一分一秒前までは思ってもみなかった。

「・・・おい、そこのお前」

今日も今日とて、コンビニのバイトの帰りだった。
バイトから上がったのは日付が変わる少し前、この時間帯、俺が住まうアパート周辺の住宅地は車の通行もなく、人気もほとんどない。
あたりを照らすのは、まばらに並んだ街灯と自動販売機の空虚な照明ばかりだ。
日中はまだまだ暑いこの時期も、夜ともなればさすがに涼しい。
そろそろ新しい上着でも買いたいなどとどうでもいいことを考えながら歩いていた俺の背中に、ふと聞きなれない声が投げられた。

「お前だ、お前。そこの金髪、聞こえているんだろう」

人を『そこの金髪』呼ばわりとは失礼なやつだ。
そりゃあ俺の金髪はその手のフェチどもが涎を垂らすレベルの見事なハニーブロンドだが、泣く子も黙る天然ものだ。
決して『そこの』呼ばわりされるようなものじゃないぞ。

(ったく、どこのどいつだ。酔っぱらいか、イキがったガキか)

挑発にのるのはくだらないと思いつつ、黙ってやり過ごすのも俺らしくない。
腕に自信がないわけでなし、黙らせてやろうと振り向いた俺は、その場で思わず足を止めた。
声をかけてきたのは、酔っ払いでも、ヤンキーじみたガキでもなかった。
そこに居たのは、何というか・・・形容するならば、『絶世の美人』というやつだった。

(嘘だろ、おい)

街灯のぼんやりとした明かりでも見間違えようのない、その美貌。
夜道に浮かぶすんなりとしたシルエットに、秋風に吹かれて長い髪がふわりと揺れている様さえも、まるで舞台演出のようだ。
丸みを帯びた卵型の輪郭に、整った目鼻立ちが品よく収まっている。
清潔感のある小さな唇に、すっと通った鼻筋。
意思の強さを感じさせる切れ長の瞳にそれを縁取る長い睫毛、その印象を和らげる細い眉。
どこをとっても俺好み、というかこれが好みじゃない奴なんてこの世にいないんじゃないだろうかと思ってしまうほどの完璧な美貌を前に、俺はすっかり浮き足立っていた。
何も考えないくらいに見惚れてしまって、だから、はじめはその言葉の不穏さに気付かなかった。

「そうだ、そのままじっとしてろ。大丈夫だ、すぐに済むから」

ジットシテロ?
スグニスム?

いったい何が、と問う間もなかった。
ほんの瞬きをする間に、絶世の美人は俺のすぐ目の前に迫ってきていたのだ。

「え、え、え、えーっと、おおおお言葉は嬉しいんだけど、いくら何でもそんな急にっていうのは」
「気にするな。俺に任せろ、痛くはしない」
「い、痛くって?俺、そっちはあんまり・・・あのでも、もちろん嫌ってわけじゃないけど、心の準備ってもんが!」
「ごちゃごちゃうるさい奴だ。黙っておとなしくしてろ、すぐに済ませる」
「す、すぐになんてそんなもったいな・・・!」

興奮のあまり、俺は自分が何を喋っているかの自覚もなかった。
仕方ないだろう、喋っている間にも、美人はますます俺に近づいてくるんだぜ?
ふと気付けばお互いの呼吸さえ触れ合いそうな至近距離にまでその顔が近づいていて、俺は緊張もいいところだった。
並外れて美しいその顔はどれだけ間近で見たって欠点のひとつも見当たらなくて、その桜色に魅惑的な唇がかっと開かれたときにも、俺はまるで見当違いのことを考えていた。

(うわあ、俺、こんな美人に襲われるのかあ)

この人ちょっと変なんじゃないか、とか。
痴漢かなとか、変質者かとか、そんなことはこれっぽっちも思わなかった。
現金なもんだな、俺はとにかく目の前の美貌に目がくらんで、さらにはこの美味しすぎるシチュエーションにすっかり心奪われていたんだ。
むしろ、『なんだか知らないけとやったねラッキー』くらいのお花畑状態だったというわけで・・・我に返ったのは、その直後のことだ。




がぶり。




「・・・・・・へ?」

チクっとした。
首筋が。
ついで、俺は目の前にあったはずの美貌が俺の肩口に伏せられていることに気付く。
・・・あれあれ?
どうしたんだ、俺はてっきり熱烈なキスが来るものだと思って、無駄に口を尖らせて待ち構えていたというのに。



ちううううう。



間抜けなことに、それに気が付いたのは美人が派手な音を立ててからのことだ。
チクリとした首筋、その一点が、一瞬にわかに熱を持ったように火照った。
と同時に、目の前がくらりと回る。

(なんだ、どうした?何が起こった?)

くらくらする。
万年健康優良児の俺にはあまり経験のない感覚だが、察するに、これが世に言う『めまい』というやつだろう。
ぐらぐらと地球が回っている感覚に襲われて、いや元々地球は回っているのだろうが、とにかくもう俺はその場に立ってもいられなかった。
薄れていく意識の中、俺の耳が最後に聞き取ったのは、


「・・・・・・まっっっず!お前、どんな食生活してんだ!」


という、あまりと言えばあまりな罵声なのだった。

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