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2013/07/10 (Wed) 眼鏡のネジが緩んだようです。

身も蓋もないタイトルですが、珍しく悩まずに決まりました。
いつもこうだといいのですが・・・
ちなみに書いてる間の自分の中でのタイトルは『でれでれミハ』でした。
うーん、身も蓋もない。

※出来てる前提ミハアルです。




最近、ミハエルがおかしい。

きっかけは分かりきっている。
かれこれしばらく以前のこと、ミハエルとアルトが互いの気持ちを確かめあった段階では、ミハエルはまだ正常だった。
正気だった、と言ってもいい。
少なくともその段階では、ミハエルはまだ他の人間の目があるところではその態度を『友人』然としたものに貫こうとしていたし、周囲もそれを疑うことはなかった。
だがそれが変わったのは、アルトがミハエルに体を許してしまってからだ。
無論抵抗がなかったわけではない。
ただでさえ女性的な容姿がコンプレックスであるアルトにとっては、ベッドの役割まで女役というのは耐えがたいことだった。
だが、結局は受け入れた。
諦めたとも、流されたとも、なし崩しとも言えるかもしれない。
理由はどうあれ、アルトはミハエルの熱意を・・・だけでなく、肉体的なアレやソレをも・・・受け入れたのだ。
そして、どうやらそれがミハエルがおかしくなった原因らしい。
それまでは理性的に振る舞っていたはずのミハエルが、とたんにおかしな行動をとるようになった。
四六時中アルトにくっつきたがって、隙あらば触ろうとする。
ところ構わず甘ったるい文句を口走るし、アルトを甘やかしたがり、甘やかされたがる。
別段、アルトは男同士の関係を恥とは思っていない。
かといって、自ら好奇の的になってやる趣味があるはずもない。
おもしろおかしく指差され、からかわれるのもまっぴらごめんだ。

・・・だというのに、ミハエルときたら。


**********


「それで、なんでお前まで付いてきとるんだ」

航宙科パイロットコースの専任教師は椅子に腰かけたまま、不思議そうにミハエルを見た。
正確には、職員室に呼び出されたアルトのすぐ真後ろに立つミハエルを、だ。

「なんでって、そりゃあ先生、俺と姫は一心同た・・・グッ」
「おおおおお節介野郎が、リーダー面して付いてきやがったんです!余計な世話だって言ったのに!」

血迷い言を言いかけたミハエルの足を、アルトは慌てて踏みつけた。
ぐりぐりと踏みつけながらわざとらしく誤魔化せば、教師は怪訝な顔をしながらも「まあ、そうか。リーダーだからな」と一応は納得したようだった。
ひでえなと恨めしそうな顔のミハエルは華麗にスルーして、アルトは気を取り直して教師に向き直る。
苦悶の表情のミハエルを不思議そうに眺めていた教師もアルトの視線に気付き、ウオッホンとわざとらしい咳払いで話し始めた。

「まあ、呼び出したのは毎度のことだ。授業態度について、他の先生方から指摘があったぞ。遅刻、サボリ、居眠りが目に余るということだ。試験の結果は申し分ないとはいえ、自覚ある行動をするように」
「・・・そんなことを言うために、わざわざ呼び出したんですか?」
「そんなこととは何だ、そんなこととは。重要なことだろうが」

まるで堪えていない様子のアルトの物言いに、教師は呆れたように首を振る。
ハアッと大きなため息の意味は、呆れか、疲れか、それとも単に面倒くさくなったのか。
実際、この担当教師がこの内容でアルトを叱るのは、転科以来数えきれないほどのことだった。
万年二位のお姫様は、飛ぶことに関係のない授業に関しては徹底してやる気をみせないのだ。
航宙科の教師としてはその分かりやすさがおかしくもあり可愛くもあるところで、教師はボリボリと頭をかきながら「まあいい」と諦めたように呟いた。

「その話はまたするとして、今日は別件が本題だ。早乙女に頼まれた話があってな」
「・・・俺に、頼み?」
「ああ。今度、受験生向けにオープンキャンパスがあるのは知っとるだろう」

いや、そんなことはまるで知らなかったが。
心の中で首を振りつつ、アルトは腰に回ろうとするミハエルの腕をつねりあげた。
そろそろとアルトの細腰を引き寄せようとしていたミハエルは、小さく呻いて手を止めた。
容赦なくつねられたそこは、後でいくらか赤くなるかもしれない。
だがそんなこと、

「・・・姫の愛が痛いぜ」

と呟いている金髪男はまるで気にしていない。
ミハエルの場所をわきまえない振る舞いを気にしているのは、あくまでアルトばかりなのだ。
目の前で繰り広げられている男子生徒二人のそんな攻防に気付く様子もなく、教師は呑気な顔で喋り続けた。

「芸能科の先生方直々に頼み込まれてな、まずは俺から話をすることになったんだが・・・早乙女、そのオープンキャンパスで舞台に上がってくれないか」
「・・・はあ?」
「芸能科のアピールとして、お前に舞ってほしいんだそうだ。早乙女は知名度もあるし、見た目のインパクトも絶大だろう。芸能としてだけじゃなく古典文化としての生きた資料にもなるって、文化芸術系の先生方にまで頼まれてな。どうだ、一回限りでいいからやってくれんか」
「はああ?なんで俺が・・・っ!」

んなことやらなきゃいけないんだよ!と啖呵を切りかけたアルトの口許を、ミハエルの手がぐいと押し止めた。
それだけでなく無意味にアルトに体を密着させて、ミハエルはここぞとばかりに喋り始める。

「無茶ですよ、先生。そもそもアルトはもう芸能科の生徒じゃないんですよ」
「んなことは分かっとる。お前は黙っとれ、ミシェル」
「黙れませんよ、俺はパイロットコースのリーダーですよ?姫は大事なメンバーで俺の最愛のこいび」
「っだだだだまれミハエル!お前が口を出す話じゃないだろう!」

間一髪、ミハエルが恋人宣言をする直前でその手を引き剥がすことに成功したアルトは慌てて声を張り上げて、ミハエルの世迷いごとを阻むことが出来た。
だがミハエルはまるで悪びれず、「だってさあ」と不満そうに口を尖らせる。

「そりゃ俺だって姫の舞台が見られるもんなら見たいけどさ、その場合は俺が一番じゃないと嫌なわけ。オープンキャンパスなんて不特定多数が見守る場で、なんで姫の艶姿を見せびらかさなきゃならないんだよ」
「頭の沸いたことを言うな。だいたい俺は舞台なんか出ない」
「まあ俺は普段から、姫のとっておきの舞台、艶姿を目にしてるわけだけど。え、どこでって?そりゃあ毎日毎晩、ベッドの上・・・って、痛いよ、姫。さっきから足踏んでるんだけど」
「わざとだ、馬鹿野郎!お前もう本当に黙れ、ミハエル!」
「姫ってば、顔真っ赤。照れてるのか?かーわいいなあ。ところで、さっきからミハエルミハエルって・・・なんでミシェルって呼んでくれないんだ?夕べはあんなに色っぽく呼んでくれたじゃないか。ああ、それともそう呼ぶのはベッドの時だけって決めてる?それはそれで萌え・・・」
「いいかげんにしろ、この色ボケ天然タラシ野郎ーーーっ!」

ゴッッッッ!と派手な音とともに、アルトは渾身の力でミハエルに必殺の頭突きをお見舞いした。
結果は双方痛み分け、互いに頭を抱えてその場にしゃがみこんだアルトとミハエルとを見下ろしながら、教師は何故か感動の面持ちだ。

「落ち着け、お前ら。・・・お前らの気持ちは、ようく分かった」
「「・・・へ?」」
「涙目じゃないか、早乙女。そんなに舞台が嫌とは、すまなかったな」
「え、いや、これは別に」
「ミシェルもだ。なんだかよく分からんが体を張って俺に訴えたかったんだな。お前がそんなに友情に厚いとは、先生、感動したぞ」
「は、はああ?・・・何言ってんだ、このおっさん・・・?」

何をどう解釈したのか意味不明だが、教師はどうもアルトとミハエルの痴話喧嘩を『一度は辞めた舞台に上がれという不本意な依頼に苦悩するアルトと、男の友情でアルトの肩を持つミハエル』という風に受け取ったらしい。
いかにも体育会系らしいノリで「よしっ!」とその場に立ち上がり、教師はきらきらとその目を輝かせた。

「俺に任せろ、ビシッと他の先生方を説得してやる!早乙女はもうパイロットコースの一員なんだ、いつまでも芸能科の仕事を回さないでくれってな!」
「「せ、先生・・・!」」

持つべきものは、思い込みの激しい担任である。
教師はその勢いのままに職員室を飛び出ると、振り向きもせずに廊下を走っていった。
きっとあのテンションのまま、芸能科の教師たちを説得してくれるのだろう。
これはこれで結果オーライかなと、アルトはほっと安堵のため息をついた。
そして、一瞬気が抜けたアルトに忍び寄るのは、もちろん。

「なんだか分からないが、よかったな、姫。これで姫の艶姿は俺が一人占めだ、今夜も思う存分堪能させてくれよ。ああ、姫の色っぽい声や舞いを思い出しただけで、俺、もう・・・」
「ばっっっか野郎!学校で何考えてやがる!寄るな、触るな、余計なことを口走るなーーーっ!」

さも当然のようにアルトの体に巻き付こうとしたミハエルに、アルトは今度こそ渾身の蹴りを放つのだった。


**********


「ったく、何考えてんだよ、お前」

その夜、ようやく二人きりになった宿舎の一室で、アルトはぶつぶつとミハエルに文句をこぼしていた。

「お前だって、バラしたいわけじゃないんだろ?男同士なんて、バレたら周りが面倒なばかりだ。そうなりたくなけりゃ、皆の前ではいつも通りの態度を・・・おい、聞いてんのかよ、ミハエル」
「んん?ごめん、聞いてなかった。何の話だっけ?」

ミハエル!と眉を吊り上げても、今のアルトには大した迫力もありはしない。
何故なら、アルトはちょこんとミハエルの膝の上に抱き抱えられた体勢なのだ。

「だから、お前の日頃の態度の話だ。なんだって最近、ああバレバレな態度を・・・っておい、どこ触ってる」
「だあって、姫ってばどこもかしこも手触りいいし。つい触りたくなっちまうんだよな」

学校などという人目につく場所でもああなのだ。
それが二人きりになった途端、ミハエルのなけなしのストッパーは弾け飛び、この上ない甘えたモードに突入する。
とにかく一時も離れたくはないのだと、抱き人形よろしくアルトを手放さないのだ。
もっとも、おとなしく抱き抱えられているアルトもアルトなのではあるが。

「いい加減にしろ。最近ひどすぎるぞ、お前。学校では必要以上に俺に近寄るな、分かったな」
「・・・分かった。必要以上、な。でも仕方ないな、俺ってもう姫に触ってなきゃ生きていけない体になっちまったし、そうなった以上は触る必要しかないんだし」
「ミ、ミハエル・・・お前、開き直りやがったな・・・?」
「あと、そう、それ。ミハエルって呼ぶの、二人の時は止めてくれない?せっかく姫がミシェルって呼んでくれるようになったの、嬉しいんだからさ」
「ば、馬鹿・・・何を、ミハ・・・ん、ぅ・・・」

昔とった杵柄とはよく言ったもので、アルトは流れるように顎をすくわれ、あっという間にその唇を奪われた。
そしてそうなってしまえば、アルトにはもはや抵抗の手段もない。
一からミハエルに仕込まれた体は、何から何までミハエル好みに仕立てあげられてしまったのだ。
ずば抜けて物覚えのいい、まっさらな体は、ミハエルの教える何もかもを水を飲むように享受して。

「ね、アルト姫。ミシェルって呼んでくれよ、ベッドの中では、さ」
「ん・・・ミシェ、ル・・・」

とろんと蕩けた目付きに、上気した頬、濡れた唇。
口付けだけで出来上がった美味しそうな体を抱きかかえるまでもなく、ミハエルはゆっくりとその場にアルトを押し倒した。
狭い部屋も悪くない。
こうして、ろくに歩かなくてもベッドにたどり着けるのだから。
そうして、ミハエルは結局今夜も欲しいままにアルトを踊らせて。

「姫、たまには上に乗ってみないか?俺、今日は下から姫の舞いを堪能したい」
「・・・気障な奴・・・やらしいぞ、その言い方」
「わざとやらしく言ってんの。それで、お姫様は乗ってくれるのかな?嫌って顔じゃなさそうだけど」
「ったく・・・仕方ねえなあ・・・」

なんだかんだ言いつつも、アルトもミハエルに甘いのだ。
それがミハエルを付け上がらせていることに気付くのは、いったいいつの日か。
肝心なことには限りなく鈍い天然箱入りお姫様は、こうして今夜も結局は、ネジの緩んだ恋人に心行くまでいいようにされてしまうのだった。


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