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2013/06/29 (Sat) オトナノカラダ

懲りずにバカップル連投です。
ちょっとだけ前回のネタを引きずった話になりました。
実はミハ(の体←造形美的な意味で)が好きな姫、というのが自分のツボにはまったようです。




「姫、ちょっとここに座りなさい」

ミハエルのその一言に、アルトはびくりと肩を揺らした。
琥珀の瞳を反抗的に尖らせて、だが振り向き様にテーブルの上を見るなり、驚いたように目を見開いた。
テーブルの上には、小さな箱がぽつりとひとつ。
すでに開封済みの、その届いたばかりの宅配便の品は。

「・・・人の荷物を勝手に開けるなんて、お前、何考えてー・・・」
「誤魔化すなよ、アルト。こういうのは合わないんだって、昔散々やったろう?もう懲りたんじゃなかったのかよ?」

アルトが怒るより先に、ミハエルがぴしゃりと先手を売った。
万事アルトに甘いミハエルにしては、これはなかなかに珍しい。
意地を張ってばかりだった高校時代とは違い、今のミハエルは万年お花畑と呼ばれるほどの新婚バカップルモードなのだ。
だが今のミハエルはきりりと厳しい顔をして、二人の愛の巣、フロンティア中心部に居を構えるマンションの一室でアルトと向かい合っていた。
相対するアルトはと言えば、反抗的な目付きは変わらないものの、その整った美貌はどこかばつが悪そうでもあり。

「わざわざ通販で買ったのかよ、プロテインなんて。まだ諦めてなかったのか?」
「・・・うるさい。お前に俺の気持ちが分かってたまるか」

プロテイン。
プロテインにも様々あるが、説明書を読まずとも、ミハエルにはそれが主に筋肉増量を目的としたものであることが分かっていた。
何故なら、アルトがこの手のものに手を出したのは初めてのことではないのだ。
SMSに入ったばかりの頃、アルトに課せられたのは、まず体作りだった。
訓練に明け暮れ、好んで低カロリーだった食生活も改善命令が出されたものだ。
プロテインもその一環で、体質的に筋肉がつきにくいアルトのためにとカナリアが各種取り揃えてくれて、アルト本人も積極的にそれを取り入れる意気込みだった。
しかしそれが、ただの「意気込み」に終わったことは言うまでもない。
一応断っておくべきか、それは決してアルトの努力不足ではなかった。
端的に言うならば、つまり、『体質にあわなかった』のだ。

「散々試してダメだったろ。また腹壊すぞ、昔みたいに」
「・・・もう何年も前の話だろ。今試したら、また違う結果が・・・」
「そう言って、あの時どれだけ試したんだ?最終的に、カナリアさんにダメ出しされてたろ。また診てもらう羽目になるぞ、それでもいいのか?」
「・・・そ、それは・・・」

だって、とアルトは恨みがましい顔でミハエルをじとりと睨み付ける。
アルトが自分の軍人らしからぬ細身の体にコンプレックスを抱いていることくらい、もちろんミハエルも知っている。
風呂上がりなどは半裸のミハエルの体をじっと睨み付け、複雑そうな顔をしているくらいなのだ。
我ながら悪くない体をしていると自負しているミハエルとしては、それはなかなかの快感だったりするのだが。

「あの時も、余計ウエイトが落ちただけじゃなかったか?いいじゃないか、無理に筋肉つけなくたって。姫はそのままが一番なんだって」
「ううう、うるさい!お前に俺の気持ちが分かるか!」

かつて体質改善に励んだアルトは、無理がたたったのか、何故かかえって痩せてしまったのだ。
どこのメーカーのプロテインも体にあわず、腹の調子が悪くなるだけで終わってしまった。
オズマ直々の厳しいトレーニングも、筋肉がつくばかりか、絞られてますます鋭利な体つきになっただけで・・・もっともそれはそれで十分『いい体』だと、ミハエルはお世辞でなくそう思っているのだが、本人的には全く満足のいくレベルではないらしい。

「俺だって毎日トレーニングしてるし、頑張って肉も食ってるってのに・・・世の中は不公平だ・・・!」

確かに、アルトは細い。
ぱっと見て、彼を職業軍人だと思う者は、まずいないだろう。
実際にはその体の芯にはしっかりと鍛えられたインナーマッスルをまとっているのだが、一見した印象はあくまで『華奢』だ。
色も白いせいか、『繊細』ですらある、その容姿。
おまけに子供時代から第二次成長期にかかる人生の最重要期を真女形として過ごしたせいか、アルトの体格は男らしいというにはほど遠い。
より女らしく、美しく見えるよう徹底された教育の成果か、その肩は柔らかなカーブを描き、平坦なはずの腰から臀部にかけてのラインすら、かすかに丸みを帯びた曲線を見せるほどなのだ。
性差を超えたその体つき、美女とも美男子ともどちらとも見えるその美貌はまるで芸術品のような美しさだと、ミハエルは常々そう思っている。
アルトのこの美しさを守るのは己の義務なのだと、ルカあたりが聞けば吹き出しそうなことを、真剣に考えているミハエルなのだが。

(そりゃもちろん、姫にちょっとくらいの筋肉がついたって、俺の愛が変わるわけじゃないけど・・・だけど、なあ)

別に、ミハエルはアルトの見た目だけを愛しているわけではない。
かといって、容姿もあわせての『早乙女アルト』だ。
本人が嫌うその顔や体もまた彼の一部であり、ミハエルが愛しているのは、そんな諸々を含んだアルト自身なのだ。
・・・もっとも、愛しい恋人の体は両手にしっくりと収まり、馴染むサイズであるに越したことはないというのも、ミハエルの本音ではあるのだが。
ついでに、その細い腰を震わせながら己を受け入れてくれるアルトの姿、華奢な体を組み敷いているというその実感がミハエルをますます興奮させることも、否定できない本音なのではあるが。

「落ち着けよ、姫。こんなもの飲んで、また体調を崩したら元も子もないだろう。大事な仕事を休んでもいいのか?」
「・・・う・・・」

まずは、仕事の話で釘を刺す。
新統合軍に移って以来、アルトはなかなかに勤勉なのだ。
アルトでなくては勤まらない任務も多く、本人も可能な限りそれに応えようとしている。
仕事に穴を開ける気かと、それだけでもアルトを揺さぶるには十分なパンチ力だったが、ミハエルはさらに後を続けた。

「それに、聞いたことがあるぞ。キモノって、肩幅広いと似合わないんだろ?いいのかよ、キモノが似合わなくなっても」
「う、ううーっ・・・」

その一言が、効いたらしい。
アルトはがっくりと肩を落とし、力なくテーブルに突っ伏した。
着物を『着ない』ことと、着物が『似合わない』こと・・・すなわち『着られない』こととは大違いなのだ。
いくら家を出、距離を置いた世界とはいえ、和装の世界はアルトにとっては生まれ育った故郷だ。
子供の頃からの価値観は、そうそう変えられるものではない。
独特な美意識にどっぷりと浸かって育ってきたアルトにとっては、着物が似合わない姿など想像も出来ないことであり、ある意味、己の過去の全否定だ。
突っ張りたい年頃の少年時代ならともかくとして、それなりに実家と距離を置きつつも良好な関係を保っている今のアルトにしてみれば、それは表現しがたい違和感であり、不自然なこと以外の何ものでもない。
とうとう諦めたのか、頭を抱えたままいじけたように動かないアルトを前に、ミハエルはことさら朗らかな声を上げた。

「いいじゃないか、姫は今のままが一番だぜ。そのプロテイン、返品できないのなら、俺が飲んでもいいんだし」
「・・・それはダメだ。お前は飲むな、ミシェル」
「?何故だ?俺なんかに飲ませたくないってことか?」
「違う、そうじゃない。そうじゃなくて、」

ようやく顔を上げ、アルトは上目遣いにミハエルを見上げた。
体つきにふさわしい繊細に整った美貌は、やはりどこか不機嫌そうなままだったが。

「お前はそれ以上筋肉をつける必要はない。だから飲むな、絶対に」

ぼそりと呟かれたその言葉に、ミハエルは思わず目を見開いた。
驚いた。
『それ以上の筋肉をつける必要はない』ということは、『今のままで十分』だということか?
だとしたら、それは、もしかして。

「・・・姫ってば、それってまさか俺を褒めてくれてる?」
「ばっ・・・バカ野郎、誰がお前なんか!お前じゃないぞ、あくまでお前の体が!」
「あ、やっぱり褒めてくれたんだ?そうか、姫は俺の体が好きなんだな?なんかエロいな、それって」
「ち、ち、ち、違う!俺が言ってる意味はそういうことじゃなく、お前が筋肉ダルマになったら・・・っ、こら離せ、ミシェル!バカ、どこ触ってる!」
「だって、姫があんまり可愛いこと言うから。つい、こう、ムラムラと」
「な、何が『つい』だ、ばかや・・・あ、やっ」

散々騒いで、じゃれあって、それからあっという間に濃密な時間が訪れるのが、バカップルのバカップルたる由縁である。
しばらくの後、ミハエルは上機嫌でアルトを胸に抱いたまま。

「そうだ、あのプロテイン、ルカにプレゼントするってのはどうだ?あいつもそういうの、興味ありそうじゃないか」
「・・・もう、勝手にしろ・・・」

乱れたシーツにくるまって、アルトのコンプレックスである細い腰は重くてだるい。
好き勝手にミハエルに担ぎ上げられていた両脚もしびれたようで、そしてその両脚の付け根、すんなりと白い太ももには、きっと呆れるくらいの口づけの跡が残っているはずだ。
跡は残すなと口をすっぱくして言い聞かせた結果、ミハエルは『見えないところならいいだろう、つかこんなところを他の奴に見せたらお仕置きだ』などと言って、際どいところにばかり口付けるのだ。
毎日毎晩がっつきすぎだ、俺の身にもなってみろと愚痴を言うのにももう飽き飽きで、しかし結局はミハエルの押しに負けてしまうのも、やっぱりいつものことであって。

(・・・ったく。俺も甘いぜ)

声には出さずに毒づきながら、しかし妙な充足感にも満たされて、アルトはおとなしくミハエルの胸板に額を寄せて眠るのだった。


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