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2013/02/14 (Thu) ガチンコ☆バレンタイン

バレンタインなミハアルです。
馬鹿です。
よりいっそう馬鹿っぽくなるかと思って、☆をはさんでみました。




2月14日、当日。
今日は言うまでもない、聖バレンタインデーだ。
この日に向けてどのデパートにも特設会場が設けられ、スーパーやコンビニでさえも便乗することこの上ない。
真っ赤なリボンにハートマークが乱舞する街中で、ミハエルは一人ため息をついていた。
SMSきっての伊達男は、もちろん毎年数え切れないほどのチョコレートを贈られていた。
今年もしかり、学校帰りの今は、両手にぶら下げた紙袋がはちきれんばかりの有り様だ。
もてない男共からすれば憎らしいほどのそんな成果を見せつけて、しかし当の本人はあくまで晴れない顔をさらしていた。

(ったく姫の奴、なんでさっさと帰ったんだよ)

晴れて想いが通じ合った恋人、愛しい相手の姿を思い描き、ミハエルは肩を落とすしかない。
なにしろ、ミハエルの人生で初めての本気の相手なのだ。
正真正銘の本命が、チョコレートはおろか、自分を置いてさっさと下校してしまったという事実・・・ちなみにミハエルは、かすかな期待をもってロッカーや下駄箱を確認してしまった。当然というべきか、男気溢れるお姫様は、そんな場所にチョコレートを忍ばせるという乙女心は持ち合わせていなかったらしい・・・の前では、いくら他の子から贈られたチョコレートがあったって気落ちするのは隠せない。
チョコレートを抱えているせいだけではなく重い足を引きずって、ミハエルはとぼとぼと宿舎への道を歩いた。

(俺たち一応、付き合ってるはずなんだけど・・・お姫様はつれないなあ。まあ、まさか姫からチョコレートを貰えるとまでは思ってなかったけどさ)

ミハエルの愛しの姫君様は、見た目に反した気骨の持ち主だ。
女性的な見た目に加え、女性より女性らしくと育てられてしまったことが相当なコンプレックスである彼は、頑なに女性的な事柄を拒絶する傾向がある。
いくらアルトを愛しているといってもベッドでの主導権だけは譲れないミハエルが、いつまでもアルトとの一線を越えられない原因もそれである。
いや、この際それは置いておくとして。

(チョコを貰えないにしても、せめて帰りにカフェに寄って、一緒にケーキでも食べたかったのに。つくづく男心の分からないお姫様だぜ)

しかし、そんなお姫様に惚れてしまったのだから仕方ない。
『惚れたが負け』という言葉の意味をつくづくと思い知りながら、ミハエルは虚しい帰路につくのだったが。


**********


「ひ・・・姫、これは?」
「いちいち聞くなよ。見りゃ分かんだろ」
「見、見ればって・・・ということは、これはまさか・・・!」

ミハエルが宿舎に帰りつくと、部屋の中には先に帰ってしまったアルトがいた。
同室なのだから当然だ。
しかしいつもと違うことは、そのアルトがやや不自然に目を伏せて、「ん」とミハエルの手に小さな小箱を握らせてきたことだった。

「ここここれってチョコレート、だよな?まさか姫が用意してくれてたなんて・・・!」
「・・・るっせえな。それは、その・・・お前があんまりもの欲しそうな顔をするから」

何を思い出したのか、アルトはほんのりと白い頬を染めた。
きれいにラッピングされたそれは、どこの専門店か百貨店で買ったのだろうか。
菓子には疎いミハエルだが、その高級感からしてコンビニなどで売っている代物でなさそうなことくらいは分かる。
この時期、どこの店頭だってチョコレート目当ての女性陣でいっぱいなのだろうに。

(なのに、姫は俺のために?)

ミハエルはチョコレートを手に抱え、感動にうち震えていた。
ただでさえアルトは羞恥心が強いというのに、女性客の群れの中でチョコレートを買うなど・・・いったい、どんな心境の変化だ。

(それってつまり、もしかしたら・・・もしかして?)

ごくりと唾を飲み込んで、ミハエルはしげしげとアルトを眺めた。
わずかな身長差ながら見下ろされたアルトはしかめっ面で、つんと唇を尖らせている。

「んだよ。何か文句あるのかよ」

恥じらいをにじませた琥珀の瞳が、じろりとミハエルを睨みつけた。
だがそれも、薄く頬を染めた上目遣いでは逆効果だ。
花も恥じらうお姫様の艶姿に、ミハエルの頭はたちまち春爛漫の花盛り状態で。

(間違いない、これは姫からの愛のメッセージ・・・つまりは、ついに姫のお許しが出たってことだ!)

ひゃっほう!と、ミハエルは有頂天に飛び上がった。
両手を広げ、アルトの体をひしと抱き締める。

「姫!やっと俺の気持ちを受け入れてくれたんだな!」

(あああ、夢にまで見た瞬間が今まさにここに!)

もはやミハエルの頭の中は、めくるめくワンダードリームランドだ。
突如封切られた脳内ピンク劇場では、清楚なお姫様が恥じらいながらも徐々に乱れる。
すんなりとした手足、同じ男のものとは思えない肢体がミハエルの下で淫らにくねり(妄想)、可憐な唇からは艶っぽい声が次々に漏れ(妄想)、否が応にもミハエルの男の生理を刺激する。
焦らされに焦らされすぎたせいか、ミハエルの妄想力は、ことアルトに関してはそれは想像を絶するほどのものであって。

「アルト姫っ、俺、優しくするから!」

ミハエルは力強く宣言し、勢いのままにベッドにダイブする。
そうすれば、アルトは恥じらいながらもうっとりと両手を広げ、ミハエルを受け入れてくれる・・・はず、だったのだが。



ゴスッ。



(あ・・・あれっ・・・?)

瞬間、ミハエルの頭は真っ白に飛んだ。
何故だと思う一方で、しかしミハエルは確かに、やっぱりな、とも思ってしまった。
悲しいかな、こんな展開にもすっかり慣れてしまったのだ。
そのくせいちいち期待するのを止められないのも、ミハエル・ブランという男の哀れな性なわけで。

「・・・なぁにを勘違いしてやがる、ミハエル」

みっともなく床に尻餅をついたミハエルの耳に聞こえたのは、氷のように冷たい響き。
そして痛みを訴える腹部を抱えてうずくまるミハエルを見下ろすのは、刺すように鋭い琥珀の眼差しだ。

「くっ・・・だ、だってチョコをくれたろう?ってことは、姫が女役でOKってことじゃ・・・」
「何でそうなる。チョコレートくらいで発想が飛びすぎなんだよ、お前は」

ベッドの上で、アルトは凛々しい片膝立ちだ。
早乙女仕込みの古武術の成果か、アルトはミハエルに華麗な足技をきめた格好のまま、不敵な笑みを浮かべてみせた。

「そうだな、それなら逆の発想をしてみよう。物事は平等じゃなくっちゃな」
「はあ?どういう意味だ?」
「役割分担のことだ。お前の言う通り、チョコレートを渡すのは女の役割だろう?だとすれば、」
「う・・・うん・・・?」

嫌な予感がしつつ、ミハエルは反射的に頷きかけた。
そして続けたアルトは、それはきれいな笑顔で笑ってみせて。

「・・・ということは、次はお前が女役になる番だ。それでこそ平等ってもんだろ、なあ?」
「ままま待て待てっ、その割り振り不平等にも程があるだろうがっ!」

にっこり笑うアルトの手から、ミハエルは慌てて遠ざかった。
いくらアルトたっての希望とはいえ、チョコレートと貞操を引き換えになど、たまったものではない。
本気の顔で嫌がるミハエルに、アルトはアルトでむっと眉根を寄せる。

「んだと?元はと言えば、お前が勝手な決め付けをするから」
「勝手じゃないだろ、俺は姫の同意を求めようと努力してるだろ?俺はちゃんと合意の上で姫を抱こうと・・・」
「おい、誰がお前に抱かれるって?どうしてお前はいつもいつも、そんな身勝手なことばかり!」
「うわ姫、だから何でそこで手を出す!?」

どかっと蹴り上げて、のしっと乗り出す。
そうなれば、後はいつも通りの取っ組み合いだ。
チョコレートが演出する恋人たちの愛の記念日のはずが、結局は子供じみたじゃれあいになり下がって。


**********


「ハァイ、アルト!昨日の首尾はどうだったの?」

翌日、登校したアルトはすぐにシェリルに捕まった。
気まぐれな銀河の妖精の美貌が今朝はとりわけいきいきと、満面の笑みを浮かべている。

「焦らさないで教えなさいよ、昨日はちゃんとミシェルに渡せたわけ?」
「るせえな。お前には関係ないだろ」
「あら、あるわよ、大ありよ。あんた誰のおかげで無事にチョコを買えたと思ってるの?」

ぶっきらぼうなアルトに走り寄り、シェリルは思わせぶりにそう囁いた。
恩着せがましいシェリルの言いようだが、確かにアルトがチョコレートを買ったのは、他ならぬシェリルのおかげではあるのだ。
といっても要するに、自分用・グレイス用・友人用・ばらまき用のチョコレートを買い込むのだと勢い込んだシェリルに連れ回された(主目的・荷物持ち)というだけなのだが。

「アルトのことだもの、自分じゃチョコレートなんて用意しなかったでしょ?でもミシェルは絶対そういうのを喜ぶタイプなんだってば。どうよ、当たってたでしょう」
「さあ・・・喜んでいたような、そうでもなかったような」
「何よ、煮え切らないわね」

アルトの返事に、シェリルは思わずその薄い背中をバシンとはたいた。
ミハエルが並々ならぬ情熱でアルトに恋しているのは丸分かりだし、そんなミハエルをアルトがにくからず思っていることだってバレバレなのだ。
2人をよく知る友人として、また妖精の名に恥じない好奇心と悪戯心を持ち合わせるシェリル・ノームとしては、いまひとつ素直になりきれない(のは、アルトの方だけなのだが)彼らをせっついてやりたくもなるというもので。

「まさか渡さなかったとか言わないでしょうね。もしそんなことだったら、この私が許さないわよ!」

他人の恋路ほど面白いものはない。
シェリルもまた無責任にそう言って、再びアルトの背中をどつこうとしたのだったが。

「いちいちぶつなよ。痛いんだよ、お前の平手」

さっと腕を上げて、アルトはシェリルの手を阻んだ。
その瞬間、ちらりと見えたアルトの細い左手首に、シェリルははっと目を開く。

「アルト、それ・・・その手、って・・・」

言いかけて、シェリルは思わず口ごもった。
目の前ではアルトが不思議そうな顔をしているが、シェリルはぶんぶんと首を振って誤魔化した。
女の勘が働いたのだ。
それは、気軽にからかっていいようなことではないのだと。

(アルトの手首・・・あの痣って、間違いないわ、捕まれた跡だわ!)

ちらりと見えたアルトの手首に見えたもの、それは見間違えようもなく人の手の跡だった。
昨日の今日でアルトにそんな跡をつける相手など、ただ一人しかいるはずがない。
そうと思った瞬間、シェリルは一斉に妄想の翼を羽ばたかせた。

『逃げるなよ、アルト。チョコレートをくれたってことは・・・そういうことなんだろう?』
『ミ、ミシェル・・・だからってこんな、急に・・・』
『いいじゃないか、もう待てないんだ。俺だって、ずっと前からお前のこと・・・!』
『いやだ、ミシェル・・・あっ・・・!』

なまじ想像力が豊かな分、めくるめく妄想は止まることがない。
まさかそのはっきりとした手首の痣が、『殴りかかろうとしたアルトにミハエルが必死で抵抗した証』だとは知るはずもなく、シェリルの妄想はますますエスカレートする。
妄想の中のミハエルがアルトの両腕を封じ、その下肢に乗り上げたあたりでようやくシェリルは我に返った。
ぐおおおお、と白い頬を真っ赤に染めて、シェリルはその場を一気に駆け出す。
呆気にとられるアルトを置き去りにして、目指すは一路、能天気なほどに真っ黄色の頭の持ち主だ。

「ちょっとミシェル!あんた一発殴らせなさい!」
「な、なんだよシェリル!俺がいったい何をした!?」
「いくらあんたが手が早いからって、アルト相手にもそうだとは思わなかったわ!それも力ずくだなんて・・・信じられないわ、非道だわ!ま、まさかとは思うけど無理矢理じゃないわよね?ちゃんと合意の上なのよねっ?」
「おおおおおいシェリル、女王様!やめてくれそんなでかい声で!」
「何よっ、何かやましいところがあるの!?まさかアルト相手に無理強いしたんだったらこの私が許さないわよ、傷物にした責任取りなさいよね!」
「ご、誤解だ、シェリル!傷物だなんて、誰がそんな羨ましいこと・・・!」

2月15日の朝、爽やかに晴れたアイランドワンの空の下、美星学園は今日も賑やかだ。
正門前で繰り広げられる目立ちまくりのその光景は、もちろん全校生徒にしっかりと目撃されていて。

「何の話だ?ミシェルとアルト姫がどうしたって?」
「ああ、なんでもついにミシェルとアルト姫が出来上がったらしいぜ。シェリルが見届け人らしい」
「嫌がるアルト姫に無理矢理らしいわよ、ミシェル君がそんな人だったなんて・・・」
「愛ゆえよね、ミシェル君!愛よ、全部愛が悪いのよ!」
「そうよ、世間が許さなくても私たちだけは応援するわ!」
「い、いくらアルト姫が魅力的だからって・・・返せ!俺のアルト姫を返せ!」
「ミシェル貴様、月夜の晩ばかりだと思うなよーっ!」

どっと沸いた彼らを前に、ミハエルはもはや途方に暮れる。
今更、言えない。
・・・というか、言っても信じてもらえない。

『俺たちまだ清い仲なんだけど』

などと、ミハエルをよく知る者であればあるほど、信じてくれるわけがないもので。

「な・・・なんで、こうなるんだ・・・!?」

頭を抱えるミハエルを横目に、シェリルはさっさとアルトの手を引いて歩き出す。

「ふんだ。知らなかったわ、ミシェルがそんな不埒な奴だったなんて。男は狼って、グレイスが言ってた通りなのね。今後は気をつけなさいよ、アルト」
「気をつける・・・って、何がだよ、シェリル」
「いやだ、まさか庇うつもり?・・・そう、本当は嫌じゃなかったのね?いいえ言わなくたっていいのよ、全く、恥ずかしがりなんだから」
「な、何がだ?おい、シェリル・・・?」
「でもいくら合意だからって、力ずくはよくないわ。ミシェルには重々反省させなくっちゃ、さて、どうしてやろうかしら。うふふふふ」
「シェリル・・・お前、さっきから何の話をしてるんだ・・・?」

こうして誤解は深まったまま、残されたミハエルにはそれを解く術もなく。

「ル、ルカ!お前は信じてくれるよな、俺は潔白だ!何もやっちゃいないんだ!っつうか姫がさせてくれないんだよ!」
「ミシェル先輩・・・その言い訳、なんだかすごく・・・情けないです・・・」

たった一人の頼れる後輩に、涙声で訴えることしか出来ないのだった。


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